現代脱藩論

大企業からスタートアップの世界へ脱藩したEX-IBMer。テクノロジーでパラダイム・シフトが起きようとしている中で、スタートアップやビジネスデザイン、アプリ開発などを私的見解とともに書きます。

脱藩しました

脱藩しました

 

本年度をもって9年弱務めたIBMを脱藩(退職)しました。

 

テクノロジー業界は異動も激しい業界なので、もはや何も驚くことはないかなと思います。

 

この数年はIBMデベロッパー•アドボケートとして開発者支援を担当させて頂きました。

 

IBM BlueHubの活動とも関わりながら、最新のテクノロジーをスタートアップの方や開発者向けに勉強会を開いたり講演したり、また大企業を巻き込んだオープンイノベーションの技術リードするなど様々な取り組みを経験させて頂きました。

 

お世話になった方々にはこの場を借りて御礼申し上げます。

 

さて、私が何故IBMを辞めたのか、次は何をするのか、というところをここ最近の出来事から辞めるまでのエピソードを交えてお話ししたいと思います。

 

評価することが難しいお仕事

この数年は開発者支援やスタートアップ支援をしておりました。この領域はビジネスへの貢献度を指標化することが難しい領域として知られています。一般的にはデベロッパーリレーションという職種で、グローバルのカンファレンスがあった際も同じような悩みを同じ職種同士で共有しあっていました。

 

世界のどこの企業も同じように困っていて難しい領域だな〜と感じました。

 

とくに最近の新しいテクノロジーであるAI(人工知能)やIoT(Internet of Things)、Blockchain(ブロックチェーン)などの勉強会やイベントを通して直接肌で感じたことは、技術的なスキルだけではこの領域を使いこなすことは難しい、ということでした。

 

もはやこれは新規事業やオープン・イノベーションなどのビジネス側と一緒にやっていかなければ、意味がないと強く感じました。 

 

ですがお客様の新規事業やオープン・イノベーションのご担当の方も、こういった意味不明な技術領域においては、評価の基準(KPI)を見出すことが難しく、会社からの評価もかなり苦労されているものとお察しします。

 

新しいテクノロジーの登場により、既存のビジネスは破壊される運命にあります。そこで新しいことを始めなければ自らが淘汰される存在になります。頭では誰しもがわかってはいるのですが、必ずしもうまくいくとは限りません。IBMも例外ではなく、当然社内からの評価も厳しく見られていました。

 

砂場に水を巻いて何になる?というような評価を受けるようなこともありました。楽しそうにしてるだけで、ビジネスを生んだない。そんな評価を受けることがほとんどでした。

 

新しいことを始める者の宿命なんだと思いますが100年以上続く大企業でこういった動きは異物として捉えられてました。ただIBMが持っている潜在的なDNAには、異物から生まれる変わる風土があると信じていましたし、オープンイノベーションAPIエコノミーを様々なお客様と築くという気持ちだけは会社からの評価うんぬんよりも勝っていて、色々と自由にやらせていただいておりました。

そして開発者の地位を上げ、イノベーションが起きやすい土壌を日本全体に醸成する事を目標としていました。 

この考えを達成するには、IBMはもってこいの場所で私にとってのバンテージ・ポイントでもありました。(日本語で「見晴らしのいい地点」「優位」 「地の利がある」 というような意味。)

 

あるスタートアップとの出会い 

ある時、友人から連絡が入り、自分が入ってるスタートアップを手伝って欲しいと言われました。

 

私も技術者視点でも面白そうだなと思い、興味本位でお手伝いすることにしました。

 

そこからが始まりでした。

 

テクノロジーが確実にパラダイムシフトを起こし始めた

スタートアップのお仕事を少しずつ手伝うことになってから、あまりにもスピード感が早すぎてカルチャーショックを受けたのを覚えています。

 

新しいテクノロジーだろうとなんだろうとすぐに学びすぐに実装しリリースされサービスが改善されていく。

 

普段は大きな企業から見ていた景色と、このギャップを肌で感じ、私は日本の大企業の危機を痛烈に感じました。

 

果たして日本の大企業が、こういったスピードとテクノロジーを持ったスタートアップと世界で戦って行けるのだろうかと強い疑問を持つようになりました。

 

IBMデベロッパー・アドボケートをしていて、アメリカやイギリス、東アジアの担当と情報交換することが多かったのですが、とくに日本の多くの企業においてテクノロジーへのリテラシーの低さに対して唖然としました。

 

ITなどのテクノロジーは、会社経営を効率化するためのツールとしか捉えてない日本の企業の多くは、AIの活用はまだまだ遠く、この分野では圧倒的な敗者でしかないと感じました。

 

これは今後ブログに書きたいと思いますが、様々な原因があるとは思います。

 

そしていま何が起きているのか。

 

既存のビジネスがうまく行ってる企業ほど気づかないと思うのですが、AIやIoTなどのテクノロジーをうまく活用しながら、まったく新しい働き方、新しいビジネス、新しいロールモデル、新しい会社の概念が生まれ始めています。

 

AI、IoT、Blockchain、AR/VRなどのテクノロジーは確実に社会や組織にインパクトを与え始めており、新たなパラダイムシフトが起き始めています。

 

破壊的なビジネスの例でUberがよく出てきますが、大したテクノロジーを使ってるわけでもなんでもないので、私的には参考になりません。

 

技術的ブレークスルーから非連続に生まれた先程のテクノロジーの領域においては、これからもっとすごいビジネスが生まれてくると思います。

 

 

現代脱藩論

一部では脱藩という言葉を現代風に言うと転職という意味にも使われてるようですが、ここではそういう意味ではありません。

 

今までの枠組みを超えるという意味です。

 

会社や組織、社会に縛られていたことを脱して、違う世界を見ようという考えです。

新しいテクノロジーを活用し、新しいビジネスを創造して、働き方や価値観、企業文化を変革し新しい社会をみんなでつくっていこうというものです。

 

今ある常識は疑い、チャレンジしなければならない時代がやってきました。

 

数年前まで誰がシャープや東芝があのような状態になると予測できたでしょう?気がつけば日本のMade In Japan神話は崩れました。最近あまり聞かなくなりましたね。。。

 

パラダイムシフトを乗り越えるには既存の延長線上にあることをやっていてはいけません。

 

既存のルールや枠組みありきで始めるのではなく、ゆるいつながりから誰もやったことのないことに挑み、幕末の如くゲームチェンジを起こしていくことが必要です。

 

今多くの企業で新規事業やオープン・イノベーションという取り組みがありますが、まだまだ評価を得るには苦労しているはずです。

 

幕末はお互いに所属している藩を抜け出し、一つの求心力をもとにゆるいつながりから、歴史をひっくり返すような革新的な取り組みが生まれました。わたしは転職をしようだとか、スタートアップをしようだとかを言ってるわけではなく、マインドを変えていこうと言っているだけです。マインドを変え、このパラダイム・シフトを乗り越えるために、所属組織の仕事とは別にゆるいつながりを外の世界(異なる組織、異なる会社、異なる職種、異なる業界)でつくっていくことが必要です。

 

とは言え実は結構根が深い問題で、教育も変えなければならないし、今あるルールも変えていく必要があります。こんなこと一人でできることは不可能ですが、団結して大きな力の外圧で変えられるのではないかと思っています。

 

企業にいる方は、いまもし会社のなかで10年、20年上の先輩と同じキャリアを目標にしているとしたら、それは危険です。

 

スタートアップの世界や開発者のコミュニティーの世界で何が起きているか、この目で確かめに行ってください。

 

外の世界(異なる組織、異なる会社、異なる職種、異なる業界)と繋がることを常に意識していかなければこのパラダイム・シフトは乗り越えることはできないでしょう。

 

これからについて

IBMという大きな企業での先程のような課題感を持って活動していましたが、自分にはまだまだ力不足のところがたくさんあると痛烈に感じる数年でした。と同時に、IBMで感じた課題は、日本の課題の縮図であると感じました。

 

もっと広い世界で挑戦したほうが成長できるかもしれない、何か変えられるかもしれないと思うようになりました。

 

そこでIBMを辞めて、先程出てきたスタートアップであるストックマーク株式会社にジョインさせて頂くことになりました。

www.anews.cloud

 

そこで味わえるものは大企業では味わえない成長が待っていると確信しましたし、優秀な同世代の仲間がいました。

 

現代脱藩論を細々と(?)提唱しつつ、大企業ではできなかったこと、ストックマークでしかできないことをやっていこうと思います。

 

IBM時代には金融系のエンジニアから始まり、クラウドマーケティングなども幅広く経験させて頂いてましたので、その広い経験を活かしていこうと思います。

 

今後もストックマークのことや、スタートアップ界隈の話、AIなどのテクノロジーの話、オープン・イノベーションなどの取り組みなどはこのブログで書いていこうと思います。