現代脱藩論

大企業からスタートアップの世界へ脱藩したEX-IBMer。テクノロジーでパラダイム・シフトが起きようとしている中で、スタートアップやビジネスデザイン、アプリ開発などを私的見解とともに書きます。

教育現場から見るこれからの脱藩者達

知識を浴びる時代から、多角的に考え、能動的に行動する時代へ

 

先日とある大学へ訪れたときに感じたことを書きたいと思います。

 

前職IBM時代もさまざまな大学にお邪魔させて頂きました。

 

殆どの大学というのは、全ては教授の力量で教育が決まります。

 

教育方針も教授個人個人が動いていているため、研究室によってレベルが様々です。

 

しかしながら明確なビジョンの下、学校で一丸となってさまざまな先進的な取り組みをされている大学も中にはあります。

 

そのなかで起業家を育てるプログラムなど、主体的に学生が考えて動くためのあらゆる支援が整っている大学が増えてきました。

 

いまの時代は、研究や講義以外に何をするかを考え、行動することが求められてるんだなと感じる設備や教育体制。

 

中教審でも審議されてる内容ですが、今後、教育はアクティブラーニングに変わっていきます。

 

多角的に考え、行動する力を養うことですね。

 

日本の教育は、今までは一方的な知識のシャワーを浴びるような教育でした。

 

これからは生徒に議論や意見交換、発表などを行わせて能動的に授業に参加し、物事を多角的に考えることが求められます。

 

格差が広がるだの、色々と騒がれてますが待った無しです。

 

さらに今後は起業家を醸成するための教育も大学に求められます。

 

大学の方がこれから何が必要か分かってる、そう思います。

 

いままさに社会人に必要な力こそ、この多角的に考え、能動的に行動する力です。

 

優秀な大学に行って、大企業に入って一生安泰という時代はもはや過去の話。テクノロジーの黒船により逆に大企業が不安定な時代に突入しました。 

 

教育→労働→余生を過ごすという画一的な人生が当たり前で、これに疑問を持たない方がほとんどだと思います。

 

この考えに疑問を持たなければ、ビジネスは破壊されて仕事は奪われていきます。 幕末のごとく。

 

 

社会の仕組みやパワーバランスを理解した上で事業を起こせる脱藩者になれるか

この数年はスタートアップがブームで、スタートアップがどんどん力をつけてフラット化するなんて言われてましたが、思いのほか大企業が強いという事実がわかりました。

 

そして一方で、スタートアップはもろく、簡単に壊れます。

 

起業家は喧嘩してはいけない領域が3つあると言われています。

 

1つは法律、2つ目は政治、そして3つ目はお金です。

 

起業家はこれらの3つを理解せずに突き進むと、必ず痛い目に合います。

 

社会の仕組みやパワーバランスを理解した上で事業を起こせるかも実は大事で、最近だと学生起業家のサクセスストーリーだけが取り上げられますが、特に海外を見ても成功してる人は殆どがビジネス経験した人たちです。

 

しかしながらAIやブロックチェーンなどの新しいテクノロジーを使ったビジネスは、既存の大企業でやっていたビジネスの延長では論理が成り立たないので、ビジネス経験が逆に邪魔をするパターンです。

 

こんなバランス感覚の必要なビジネス領域を乗り越えられるのは、異端児集団、つまりは脱藩者集団を作り上げることが大切です。ここでの脱藩は大企業を辞めるとかではなく、組織や既存のやり方にとらわれず物事を動かそうとすることです。

 

スタートアップのイベントやデベロッパーのコミュニティに顔を出し、時代が変わったことを肌で感じ、様々なオープンイノベーションに積極的に取り組み沢山の失敗を経験することです。

 

大企業で待ってても、つぎのテクノロジー領域では限界があります。(特殊な仕掛けをすれば別ですが。)

 

ここまで話すと、新しいことにチャレンジして「脱藩」した方が良いに決まってるのですが、万人におススメはできないです。やはりリスクは発生するので、それを受け入れる覚悟のある人が次の時代を創るのだと思います。

 

日本全体のことを考えると、優秀な人材がリスクを抑えてスタートアップできる制度なり仕組みができるともっともっと新しいビジネスが生まれるのではと思います。

 

「藩」を飛び出した世界には今までと違った世界があり、日本全体を苦しめる閉塞感や大企業で感じる何かしらのモヤモヤを外の世界から解釈することができます。

 

パラダイムシフトに備える投資を

テクノロジーの発展によりこれから迎えるパラダイムシフトにおいては、多角的に考え、能動的に行動を起こすことが求められています。

 

会社から言われたことはこなしつつ、先見性を持って言われていないことをやる度胸と行動力が問われています。ここにAIやIoT、ブロックチェーンのビジネスを牽引するための力が養われるのだろうと思います。

会社であれば株主に対して背を向けるぐらいの覚悟がいるということ。上司や組織には背き(良い意味でね)、カスタマーファーストになることです。

 

確かに初めはお金は赤字を垂れ流すかも知れませんが、そのあとに跳ね返ってくる「人材」という資産は目に見えなくとも確実に将来化けることになります。

 

ここに自分を投資できるか、あるいは会社として投資できるか、選択が迫られています。